北アイルランド問題と新IRA、そしてイギリス

北アイルランド イギリスと他国

2012年あたりから新IRA(New IRA)と呼ばれるアイルランドのテロ組織の活動が目立つようになってきました。

新IRAとはどんな団体なのか?

イギリスMI5(イギリス情報機関)は、テロの脅威を「深刻」として警戒レベルを引き上げています。

この記事では、この新IRAの背景となった北アイルランド問題と、新IRAについてまとめてます。

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北アイルランド紛争とは?

19世紀後半より、それまでイギリスに統合されていたアイルランドで独立を求める運動が激しくなります。

「南部:イギリスからの独立派」✕「北部アルスター地方:イギリスとの連合を維持したい派」。この2つの組織の対立が激しさを増していったのです。

1916年のイースター(復活祭)に、独立派によって「アイルランド共和国樹立」が宣言され、武装蜂起(イースター蜂起)します。

この「反乱」はまもなく鎮圧されましたが、その火種は1919年のアイルランド独立戦争を招きます。

1921年、独立派とイギリスは英愛条約を結び、南部26州(南アイルランド)はイギリス国王を元首とする自治領アイルランド自由国として分離しました。

アイルランド自由国の分離にともない、1927年、イギリスは国号を「グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国」と改めました。

1937年にアイルランド憲法が公布され、アイルランドは完全に独立。

ここで、イギリス連合王国に留まった北アイルランド内で紛争が起こります

北アイルランド(アルスター地方6州)では、英国からの分離とアイルランドへの併合を求めるカトリック系住民と、英国の統治を望むプロテスタント系住民が激しく対立します。

もともと北アイルランドのカトリック教徒は少数派で、政治の上でも仕事、住居においてもあらゆる面で差別を受け、両者は対立していました。

この問題は深刻化し、1969年にカトリック系住民による「アイルランド共和国軍(IRA)」が武装闘争をはじめます。

彼らの主張は北アイルランドのアイルランド共和国への併合であり、イギリスの直接統治に対して徹底した抵抗を行うとし、テロ活動は80年代まで続き、犠牲者は3200人を超えたと言われます。

アルノ
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紛争は1972年1月の血の日曜日事件と、同年7月におきた血の金曜日事件で頂点を迎えます。

 

 

アイルランドの和平

戦闘の長期化に和平の動きが出始めます。

1998年にはベルファスト合意により北アイルランド和平合意が成立。

それまで30年ほど続いた北アイルランドでのIRAと英当局との激しい抗争。それがやっと終結したのです。

 

アルノ
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2003年にIRAは武装解除宣言しました。これでやっと平和に??

新IRAとは?

IRAとは、アイルランド共和軍(Irish Republican Army)の略で、テロによってアイルランド独立闘争を行ってきたアイルランドの武装組織です。

IRAの目的は、北アイルランドが英国から離脱し、アイルランド共和国と再統一することです。北部6州と南部26州(共和国)とを統一、つまり全アイルランドの統一にありました。

和平合意後のIRAは廃止措置により武力放棄し、解散します。

しかし1997年(合意の半年前)に、新たなテロ組織、真のIRA(Real IRA)が分派して生まれたのです。

暫定IRA(PIRA、IRAと同義で扱われることが多い)の武装放棄と和平路線への変更に 強く反対するメンバーによる分派でした。

時は流れ2012年、真のIRAと他の2つの団体が統合し、あらたな新IRA(New IRA)と呼ばれる団体がうまれました。

この団体が、アイルランド各地で暗殺、射殺、爆破事件などさまざまなテロ活動を行っている「新IRA(New IRA)」と呼ばれるグループなのです。

 

アルノ
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新IRAは、北アイルランドの首都であるベルファスト西部に拠点をもち、規模は小さいと考えられています。テロの脅威レベルは引き上げられているので要注意!

 

イギリスは?

IRAのテロ活動は北アイルランドだけでなくイギリス本土にも拡大しました。

特に1970年から90年にかけておきた「ブライトン爆弾テロ事件」、「バーミンガム・パブ爆破事件」など、王室や政府、ロンドンの公共交通機関をねらったもの、経済の主軸であるシティやドックランズ地方を襲ったもの、さらに報復、、、。爆弾テロでの犠牲者の数は1800人にものぼります。

 
イギリス本土での最後のテロから約15年を経て、イギリスはEU離脱交渉の真っ只中にいます。

イギリスがEUを離脱した場合、同じ島内で南のアイルランド共和国はEU、北アイルランドは非EUとなり、EUの関税同盟が北で適用されなくなります。

さらに、この国境にハードボーダー(厳格な国境管理)ができる可能性が危惧されています。

このハードボーダーの存在が、アイルランド国民に「アイルランドは今も分断されている」と再認識させるものになり、テロによる治安の懸念がでてくるのです。

イギリス残留派ともいえる北アイルランドの民主統一党(DUP)、カトリック系民族主義政党シン・フェイン党(Sinn Fein)の動向にも注意が必要です。

まとめ

以上、北アイルランドの問題、紛争、そして新IRAについてまとめました。

2019年1月に北アイルランドのロンドンデリー(Londonderry)にて車両爆弾によるとみられる爆発が発生しましたが、今後このような新IRAによるテロのニュースは増える可能性があります。

北アイルランド問題は、単純にいうと北アイルランド内での以下の派閥の対立が原因となって起こっています。

(アイルランド統一派)

❍カトリック教徒
❍ナショナリスト(過激派はリパブリカンという)=IRA
❍共和派
❍少数派

  VS
(イギリス残留派)

❍プロテスタント教徒
❍ユニオ二スト(過激派はロイヤリストという)
❍王党派
❍多数派

北アイルランド問題は、イギリスとの歴史的関係、カトリック教徒とプロテスタント教徒の確執、社会的背景も複雑にからみあっています。

アイルランドとイギリスの歴史と関係はこちらの記事をぜひ参考にしてください。さらに深く理解できるはずです。

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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。Byアルノ

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