6月のイギリスの楽しみの一つ、第1もしくは第2日曜日に開催される「オープン ファーム サンデー(Open Farm Sunday)」!
■イギリスのファームって何?農業??
■オープンファームサンデーって何?
今回は、「オープンダームサンデー」とは何か?ファームの探し方、アルノのイギリスファーム体験レビューとともに紹介します。
この記事でわかるのはこんなことです↓
- イギリスのファームの種類
- オープンファームとは?
- アルノ母子のチーズファーム体験レビュー
1、イギリスの「ファーム」の種類
「Farm(ファーム)」とは、直訳すると、農場、農園、飼養場、養殖場、農家、農場の家屋となります。
アルノが、今までのイギリス生活で訪れたことのあるFARM(ファーム)は、、、
●Vegetable Farm(農業)
●fruits Farm(果樹園農家)
●Pig Farm(豚のファーム)
●Sheep Farm(羊のファーム)
●Chiken Farm(養鶏農家)
●Cheese Farm(チーズ農家)
●Honey Farm(はちみつ農家)
●教育システムが整った農場兼教育施設
これら農場で、野菜やフルーツ、小麦、ミルクやチーズなどの乳製品、肉やハムソーセージ、卵、羊毛、はちみつ、油、ジャム、ケーキなど多種多様なものを生産し、世界中の消費者へ販売しています。
農業セラピーのケアファームというものもあります。
ファームの可能性は拡大中!
イギリスのファームは、大企業のものもあれば、大規模に(例えば野菜も動物も)行っているところ、家族経営で専業で(例えば養豚だけなど)コツコツ行っているところも多い。
また、環境、教育、土壌の管理、エコエネルギーに非常に敏感に経営しているところも多く、そのようなファームを「Integrated Farm(インテリジェントファーム)」と呼んだりしています。
一般人とファームをつなぐ日常の接点は、併設された(もしくは別置された)ファームショップでの生鮮食品や加工品の直営販売、ネット宅配などのシステム、また、ファームの中に子供向けの遊び場が設けられていたり、キャンプ場があるところ、定期でイベントを開催するところ、こどもや大人向けのファームスクールを行う場所など。
私が行って面白かったと記憶にあるのが、オーガニック野菜ファームが行った「野草を知ろう!ワークショップ」。
ファームの中を野草研究科と歩き、見つけた野草がどんなふうに使えるか説明してくれるというもの。ティー、薬、クリーム、作り方のレクチャーまで。途中ファームの美味しいランチまでいただき、大満足の一日でした。
日本にいたとき、こんなにファームが身近だったでしょうか?
イギリスのファームは、生産者と消費者との接点がポイントです。
※注意すべき点は、イギリスでは遊園地や、動物や植物のテーマパークのことも
「Farm(ファーム)」と呼ぶ場合があることです。わたしは最初、農場のファームとテーマパークの違いに混乱しました。
2.オープンファームサンデーとは?
「オープンファームサンデー」、それは、、、
毎年1回、6月の第1か第2日曜日に、LEAFという民間団体に加盟する1000以上ものイギリス中の農場が、一般の人々にゲートを開放する特別な日。
2006年に初めてイギリスでオープンファームサンデーが開催されました。現在ではイギリスの1000人以上の農家がこの日にゲートを開き、消費者である地域の住民へ農場を一般公開します。
ファーム側にとっては、地域の住民と深く交流でき、生の声がきける日。
また、地域の住民にとっては、ファームの中に入り、農場の様子や作物や畜産物がどのように育てられているか知ることができる特別な日。
イベント内容は、ファームによって、またその年によっても異なります。子供向けのアクティビティが豊富に用意されていること、農場内をトレーラーでツアーしたり、作る工程をみせるツアー、実際の体験、文字探しなどの遊び、カフェや特産品の販売。さまざまなローカルブースなど、盛りだくさんで、一日中滞在できるイベント。
訪れる人の年齢層は幅広く、赤ちゃんから年配者まで、若いカップルや年配者のカップル、一人でぶらり、という人も目にしました。
エントリーは無料、アクティビティも無料が多く、カフェやドリンク、ちょっとしたゲームに料金がかかる、というファームが多いのも特徴。
この「オープンファームサンデー」は、一般人にとってもファームにとっても素晴らしい体験ができるまたとないチャンスなのです
3.オープンファームの探し方!
イギリス中の多くのファームの中から行きたいファームを見つけます。ロンドン界隈も多いのでご安心を。
①まずLEAFの「オープン ファーム サンデー(Open Farm sunday)」のサイトへGO。
▶https://farmsunday.org/visit-a-farm
②サイトの『Visit a Farm』へ行き(リンクはそのページへとびます)『Enter your location, select a region or enter a farm name』の欄を入力する。(特にサインインの必要なし)
■Location(ロケーション)→探したい街の名前を入力
■Region(リージョン)→探したい地域の名前(例:WealesやSouthWestなど
■Farm name(ファームネーム)→すでに探したいファームの名前を知っていればファームの名前を入力
どれか入力したら『Search』をクリック。
※ここではロケーションで「ロンドン」を例に検索してみます。
画像引用:以下すべて「LEAF」サイトより
③早速ロンドンの地図の一覧!
ここで、自分の都合のよい場所があれば地図のピンをクリックして詳しい内容をみてみるもよし、下にスクロールすると、また詳細検索ができるようになっています。
④さらに下へスクロールで、ロンドンの各ファームの情報を確認できます。
⑤絵文字の意味
■Meet tha Animals:畜産
■Hosted farm tour:ファームツアーのもてなし
■Tractor and trailer rides:トラクター、
■Self-guides walks: ガイドなしの散歩
■Partially accessible to wheelchairs: 部分的に車椅子がアクセス可能
■Science in farming: 農業における科学体験
■Machinery demonstration: 各種機械のデモンストレーション
■Static machinery display: 機器の展示
■Food is available: 食べ物があります
■Farm shop and fresh produce:ファームショップの営業と、新鮮な農産物の購入
■Majority accessible to wheelchairs:大部分において車椅子がアクセス可能
これで、かなり細かい詳細検索ができます。
オープンファームサンデーに参加しているファームは多いので何処に行こうか迷います。今年はここ、来年はここ、と毎年ファームめぐりをするのも楽しい。一日に2件以上のファームをはしごする人もいました!
また、このファーム検索は、自分の住む地域のどこにファームがあるのかも教えてくれます。
オープンファームサンデーほどの規模ではないものの、部分的にファームショップが併設されていたり、カフェやレストラン、遊び場があるファームも多いので、自分のまわりのファームをチェックするのにも使えます。
つぎに、実際に私が息子(8歳)と行ったチーズファームのオープンファームサンデーの体験レポートを紹介します。
イギリスのチェダーチーズファームへ行こう
私が今年選んだオープンファームは、チーズ農家である「QUICKE’S」!
イギリス南西部、デボンの州都Exeter(エクセター)とCrediton(クレディトン)のちょうど堺にあります。エクセター中心地からは車で約10分の場所。
1540年にQuicke一家が創設、今でも昔ながらの方法で手作業で作られるチーズは非常に美味しいと評判です。ファームショップが併設されているため、ここを通りかかるとお気に入りのマチュアチェダーチーズを購入しています。
このファームで作られているのは、チェダーチーズ、ゴーツチーズ(ヤギ)、バター、ケーキやクッキーなど乳製品がメイン。
ファームショップの横には、ファームのチーズをレシピに取り入れたカフェレストラン(美味しい!)と、ちょっとした子供の遊具が設置されているため、子供連れの家族の姿をよく見かけます。
ファームショップ場所: Newton St Cyres, Exeter, EX 5 5AY
地図: https://goo.gl/maps/f9iyMWF5JkB2
営業時間: 9am – 5pm(月ー土)
定休日: 日曜日
電話番号: 01392 851000
Email: shop@quickes.co.uk
サイト: https://www.quickes.co.uk/
早速オープンファームサンデーへ!
「QUICKE’S」ファームに到着するも、いつものファームショップの駐車場はいっぱいで、係員の誘導で少し先の草原へ移動することになりました。
うわ! 広大な草原、道を普段とおっているだけではわかならない「一本道が違うだけなのに別世界」が多いイギリス。
車を進めると、会場の近くに駐車スペースを発見。このスペースももちろん草原。車を停め、息子に帽子をかぶってもらってイザ会場へ。
6月前になるとよくみかける「Open Farm Sunday(オープンファームサンデー)」のサインが道案内。
会場の様子が見えてきました!
この日はくもり空で、写真もうまく撮れず、会場のワイワイ感がまったく伝えられていませんが、実際は沢山の人出で賑わっていました。
手前には、もぐらの小さい動物園、常設の子供の遊び場(タイヤや小さいトラクターがある)、その奥が会場の入り口。
遊具を通り抜け、会場に入ると、BBQ、コーヒーやティー、ケーキ売り、ハンドメイド作品の小さいブースと、干し草で区切られた場所はミニトラクターで遊ぶ子どもたち。
そこを取り囲むようにぐるりとチェアが設置されていて、子供が遊ぶのを見ながら、買い物やお茶ができるようになっています。
QUICKE’Sで生産されているチーズの試食!
ヤギのチーズ、チェダー(軽いもの、熟成されたもの、ビンテージ)を試食。むむむ。美味しい!あとで買いに戻ります!
レセプションで、今日のイベントの案内図と、子供用のクエスト(アルファベットを探し、全図のアルファベットで何の言葉になるか?のクイズ)ペーパーを受け取ります。
子供の遊び場へGO!
まずは、息子のエネルギーを発散させようと、トラクター乗り場会場へ。
男の子大好き「働く車」のトラクター、フォークリフト 、ロードローラー、ブルドーザー、ショベルカーがたくさん展示されていて、実際の操作体験も数種類からできました。
息子は、ショベルカー、ブルドザー、フォークリフトの操作にトライ。慎重にね。
面白そう!ああ私もやってみたい!
干し草は、椅子にもなるし子供の遊び場にもなる。
ラットレースと称した、土管のような筒の中にはいって迷路をくぐるゲーム、これまた楽しそう。何度も行ったり来たりしていました。
トラクターまわりには、トラクターの機種説明、何のために使うのか、どのようなものができるのかがしっかり展示されています。
チェダーチーズファクトリーへ
場所を変えて、チーズ作り体験コースのブースへと歩きます。
歩いていても緑が多く、自然いっぱい!花粉症だけどね!薬飲んできたからね。
おっと!チーズ倉庫発見!
中はひんやりしていて、チーズ臭がわたしには最高なんです。
これは、クリーミーでありながら独特の味わいのあるチェダー一個まるまるがズラリ!
通常12〜15ヶ月間成熟して完成。お値段は、ひとつ1.8Kgで36ポンド。
お次は、チーズ作りの説明ツアーへ。約20分のコース。
説明の途中で、英語に問題のある私達親子は脱落。すいません。
最後にバター作りもちょこっと体験!
搾乳機見たり、、、
牛専用の体重計に乗ってみたり、
牛280頭を間近で見に行ったり、土の中のミミズをさわったり、、、
スタッフを質問責めにしてしまうわたしですが、下手な英語にいやな顔ひとつせず、ニコニコと答えてくれました。
最後にトラクターファームツアーへ!
ここまでも、クイズの答え(アルファベット探し)を探しながら体験しているので、たっぷり時間をとって遊んでいます。遊びながら学ぶという感じ。
最後に、トラクターでファームを巡るツアーに乗車することにしました。
小型のトラクターでスピーディーに駆け回るエキサイティングツアーもありますが、わたしたちはおとなしくこちらの大型でゆっくりまわります!
乳牛のドアップ見たり・・・。
川の中を走ったり、「あ!サメだ!」の声によーーーく見てみると、
川にサメの浮き袋(写真右手の青いもの)が置いてありました。
遊びごころが子どもたちの心をわしづかみ!
あーーー!楽しかった。
英語がわからなくても十分楽しめます。英語が完全理解できたら展示内容も詳しく知ることができ、さらに充実した一日になるでしょう。
最後に牛に見立てた工作物で乳搾りの疑似体験。
最後に、全部のアルファベットが探し出せたクイズの用紙をレセプションに持っていくとロリポップとファームのシールをもらって息子はご満悦。
クイズの答えは、「DEVON CHEDDAR(デボン チェダー)」でした!
一つ50Pのケーキ2つと、チーズ1種類(写真を取り忘れましたが)だけを買って帰宅の途につきました。
エントリー料は無料、アクティビティも無料、私が支払った金額は、アイスクリームとケーキ、チーズ代だけ。お得にもほどがあるほど遊び倒しました。
まとめ
以上、「イギリスのオープンファームサンデー」について紹介しました。
私のイギリスファームの個人的感想は、大きく以下の3つ。
■けっこうセンスがいい
■小さい規模のファームにも関わらず、世界な販売ルートを持っている
■日本ほどには味への探求がされていない、素朴。
一度、日本でコメづくり体験に行く!と友達に話したら、「そんな重労働をわざわざ休みの日にしにいくなんて意味わかんない」と言われたし、私の周りに農業、自然に興味のある人がまずあまりいなかった。
しかし、イギリスでは、ファームイベントに行って、農業体験や農業のことを学ぶのはごく当たり前の自然なことなんです。
味はね、、、イギリスの食品は素朴です。例えばリンゴ。甘いリンゴもあれば甘くないリンゴもある。形がゴツゴツしたままで売っている、など。イギリスのりんご農家が青森の蜜入りリンゴを食べたらどうなるんでしょう。
もうひとつ、小さい規模のファームにも関わらず、世界に展開しているファームもあります。それはイギリス特産チーズだったり、羊毛だったり、クラフトビールだったりします。
日本の農家レベルの味であれば、すぐに世界の市場で戦えそうですよね。なぜ日本ではそんな例が少ないのか?法律、貿易の問題ももちろんあるでしょうが、それは国や農業支援団体のサポート、生産管理、オーガナイズ力にあると私は感じています。
イギリスは、生鮮食品や加工品のパッケージデザインが洗練されているし、実際にファームに行ってみると、働く人が年齢に関係なくシャキッとしていて服装もモダンなイメージです。ちょっとオシャレなイメージなんです。
そして、使用する水、土壌、エネルギーを管理し、できるだけエコロジーに循環できるよう取り組まれているファームも少なからず。
もうひとつ、地域の学校やこどもを対象とした体験入場制度が(農場体験や農業スクール)整っていて、受け入れ例もよく耳にします。イギリスの子どもたちは小さい頃から自然とファームと親しんでいるということになります。
わたしの友人の子どもたちは、ファームスクールに週一で通って、ファームで野菜や果物を育て、小動物の世話をしています。
団体(LEAFなど)のサポートの力は大きく、個人農家を、大きな農家団体と国が一丸となって教育、サポートしています。
イギリスの6月の日曜のイベント、オープンファームサンデー(Open Farm Sunday)は子供も大人も楽しめるイベントです。
私と息子もますますこのファームのチーズが好きになったし、製品に信頼が持てました。
動物愛護の観点からなのか、本物の牛での乳搾り体験はなく、疑似乳搾りがイギリスらしいな、と感じます。
私は、オーストラリア放浪の一時期、ヤギのお乳を毎朝絞って飲んでいた経験があり、そこからいろんなことを学んだので、息子にもいつか実際の乳搾り体験をさせたい。食べ物がどこからくるのか?どうやって作れるのか?知ることから始まります。
イギリスのファームをもっともっとたくさんの人に知ってほしい、訪れてほしい、と願うアルノです。
年に一度のイベントですが、このイベントの他に各ファームでは子供・大人向けのファームスクールや、ファミリーファンデーというイベントも開催されています。
タイミングがあえば、ぜひご家族でイギリスのファーム体験へでかけてみてください♪
わたしの住むイギリスの田舎、デボン州の魅力はこちらの記事でまとめています。
▼イギリスのSDGs対策のひとつ、フードロスについてはこちらの記事で紹介しています。イギリスの食品廃棄はどんどん削減されています。興味がある人はぜひのぞいてみてください。
ぜひ一度イギリスのファームを体験してみてください!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。アルノ