・海外に運動会ってあるの?
海外には日本の運動会とは全く違いますが、スポーツデー(Sports Day)なるものはあります。
日本の友人から質問されたことをきっかけに、海外(イギリス)の運動会と日本の運動会について考察してみました。
日本の運動会、、運動音痴のわたしにとっては一年で最大の苦しみを味わう日でした。
ちなみに、第二位の屈辱イベントは 水泳大会、第三位はマラソン大会です。
運動会は「スポーツのできる子の引き立て役」以外の何事でもなく、親を毎度がっかりさせることへの恐怖心さえありました。
この記事では、イギリスの運動会の様子をレビューし、海外と日本の運動会の7つの違いを紹介します。
記事を書いているのは、在英歴10年のアルノです。日本の運動会と比較してみましょう!
1)日本の運動会とイギリスのスポーツデー(Sports Day)
日本の運動会の海外の反応は、、、
「軍隊みたい」、「ファンタスティック!」などさまざまに意見がわかれます。
イギリスの運動会は、「スポーツデー(Sports Day)」という名の運動ゲーム会です。大会ではありません。
イギリスのスポーツデーの一番の特徴は、学校ごとに種目や雰囲気がかなり違う!ということです。
日本の場合は、体育・保健体育科の明確な学習指導要領が体系化されているため、発達の段階をふまえた基礎体力作りや、必ず勉強しなければならないスポーツが全国レベルで決まっています。(公立)
しかし、イギリスの「体育」は日本のような明確な方針はないため、学校によって違うのです。
体育施設が充実している学校、プールがある学校はまれで、わたしの印象では、「とりあえずポピュラーなスポーツをゲームとしてみんなでやってみる、のがイギリスの学校体育」だと思っています。(※学校によって違います)
そのため、日本の体育で習ったようなこれらのこと…
- スポーツ精神の育成
- 体幹を鍛える
- スポーツゲームの方法や技術を身につける
というようなことは、イギリスの学校体育では一切期待できません。
そのため、スポーツに力を入れたい親は学校を選ぶか、学校以外のスポーツクラブに通わせることで子供にスポーツを学ばせています。
このクラブもきっちり選ばなければ、ただの遊びで終わります。
2)運動会の競い方がちがう
Gotta be proud of my 2nd place finish in the obstacle race at a school’s sports day. Can’t beat getting a sticker too! pic.twitter.com/kW0EfRAG
— Leigh Overton (@LeighOvo1) 2012年6月25日
日本の運動会の競い方
- 紅白にわかれて競う
- 全校生徒(全学年が一緒に)が参加する
イギリスのスポーツデーの競い方
- 色わけによる対戦。(息子の学校では色分けの目印もないので誰がどのチームかよくわからなかった。オーガナイズ不足を感じる)
- 学年ごとに参加する。または2、3学年が合同で行う
- レースで勝ったら、スティッカー(シール)をもらえる(写真)
イギリスのレースは、真剣に「1位」を決めるためのものではありません。
3)運動会シーズンが違う(歴史の違い!)
Glorious day for Sports Day and the earlier chess competition. Thank you to @Chartwells_UK who supplied lemonade and ice lollies. pic.twitter.com/o32xX2Bhfg
— stgregoryscs (@stgregoryscs) 2019年7月3日
日本の運動会シーズンと日程
- 9月中旬~10月がシーズン(最近は春の開催も多い)
- 準備に1ヶ月以上の練習をする(吹奏楽部なども含め)
- 大会は丸一日かかる
日本の運動会が秋に行われるのは、国民の祝日「体育の日」が10月の第2月曜ということと、そもそもの起源である明治時代の海軍兵学寮が開催した運動会がこの時期だったことに由来しています。
最近になって春の運動会がちらほら聞くようになったのは、行事の分散化と、気候変動による秋の残暑が厳しく熱中症対策によるものといわれています。
イギリスの運動会シーズンと日程
- 6~7月初旬に行われる(スポーツデーのない学校もある)
- 準備や練習はほとんどない。全員揃っての予行練習はあっさり。
- 午後から2時間ほどの学校が多い
イギリスのスポーツデーが春に行われる理由は、近代オリンピックが関係していると推測しています。
第一回近代オリンピック(アテネ)が開催されたのが、1896年4月6日~4月15日でした。
息子が前通っていたシュタイナー学校のスポーツデーには、こどもたちは古代オリンピックの仮装でスポーツ会をしていました(高学年のみ)
4)運動会の種目が違う
日本は?
日本の徒競走、リレーは本気度マックス!
日本の運動会のあるある種目
- 徒競走
- リレー
- 大玉転がし
- 玉入れ
- 綱引き
- 騎馬戦
- 障害物競争
- 騎馬戦
- ダンス(フォークダンスなど)
- その他(二人三脚・借り物競走・マスゲーム・ムカデ競争…)
日本全国津々浦々で行われる伝統的競技があるのが一番の特徴です。
イギリスの種目は?
イギリスのスポーツデーのあるある種目
- 障害物競走(例:フラフープをくぐりながらのリレー)
- エッグレース
- ポテトサックレース
- 二人三脚
- 徒競走(唯一、イギリスの子どもたちがまさかの本気を出していた種目)
個人的に競争する種目は徒競走くらいなので、だいたいがチームごとの運動ゲームを楽しんでいます。
私の印象ではイギリスの子どもたちは、「勝ちたい!」という気持ちは人一倍なので、ゲームをそれなりにがんばってる様子。
しかし、日本人の目を通してみると「喝!」と言いたくなるようなだらだらとした体たらく。
練習もないので 進行も秩序なく、ワラワラと終わります。
▶エッグレースやポテトサックレースについては、イースターの記事で遊び方を紹介しています。
5)音楽・飾り付けが違う
日本の運動会の曲と飾り付け
「クシコスポスト(ヘルマン・ネッケ」、「道化師のギャロップ(カバレフスキー)」、「星条旗よ永遠なれ(スーザ)」など日本の運動会には独特の運動会のクラッシック名曲が流れています。
今でもあの曲をきくとめらめらと闘争心がわいてくるのは、日本人ならではなのかもしれませんね。
飾り付けは、まってましたの「万国国旗」の連続旗のはためきです。
なつかしいなぁ。
イギリスのスポーツデーの曲と飾り付け
イギリスのスポーツデーに運動会独特の音楽はありません。音楽を流さない学校もあります。
息子の通う学校では、アリアナ・グランデやレディ・ガガなどの流行りのダンス・ミュージックが流れていました。
そう、子供も大人ものりのりダンスしながら競技進行です。見ていて微笑ましかったですけどね。
そして、スポーツデーだからといって特別な飾り付けはありません。
6)応援や屋台が違う
日本の運動会の応援や屋台は?
- 家族そろって観戦、ときには競技にも参加し、お昼は一緒にランチを食べる
- さまざまな屋台がでる
- 先生も本気
- 応援団がいる
イギリスのスポーツデー、なぜか見ていて気持ちがモヤモヤしていたので、なぜだろう?と考えていたところ、あるひとつの結論にいたりました。
それは…
「応援団」がいないこと!
日本の運動会では、紅白それぞれの「応援団」が演舞を繰り広げます。
私はスポーツできないので応援団で応援合戦に参加してました。学ラン借りての「三三七拍子」や流行りの曲で創作ダンス、そして応援合戦。楽しかったなぁ。
イギリスの応援は、親がニコニコ笑ってみているだけです。たまに声の大きいお母さんの声援が轟くって感じ。
イギリスのスポーツデーの応援や屋台は?
- 親は観戦、応援できる(学校によって親の競技参加もあり)
- お昼など一緒に食べることはない(2時間で終わる)
- 先生もゆるい
- 屋台はほぼなし(息子の学校では水とジュースの販売あり)
イギリスのスポーツデーの応援や屋台については、学校によってかなり違います。ロンドンの友人の学校ではケーキやアイスクリームの屋台がでると言っていました。
7)こどもと親の服装が違う
日本の運動会の服装や持ち物
(日本の子供)
- 体操服
- 運動靴
- 帽子(紅白のチームによってかぶる色をかえる)
(日本の親)
- カジュアルな動きやすい服(運動に参加予定ならスポーツウェア)
- 帽子や羽織ものなど日焼け対策ファッション
- カメラ片手に
(日本の先生)
- 運動服(ジャージなど)
- スポーツシューズ
- 帽子
日本は考え過ぎなところもあり、「運動会にいくためのファッション特集」もよく見かけます。準備万端にしてこの日を楽しみたい日本です。
イギリスのスポーツデーの服装や持ち物
(イギリスの子供)
- 体操服(基本は白Tシャツに黒いショートパンツやスパッツ)
- 運動靴らしきもの(イギリス独自の黒いスリッポンも多い)
- たまに帽子をかぶっている子供がいる(帽子は必須ではない)
(イギリスの親)
- 父親はジーンズやハーフパンツなどカジュアルな服装が多いものの、母親はヒラヒラのサマードレスが多かった(その日イギリスにしては暑かった)
- 日焼けはあえてしたい!(背中真っ赤になってますよ!)
- スマホ片手に(「まとめ」で詳しく解説↓)観戦
(イギリスの先生)
- スポーツウェアに混じってサマードレス、、、自分の着たい服をきている。暑いしね!
- シューズは自分の履きたいものをチョイス(エスパドリュー、ヒール、スポーツシューズいろいろ)
- 帽子をかぶっていた先生は1割。(この日は熱波到来していたが。。)
今年の息子のスポーツデーは炎天下で行われましたが、日陰にいたのは私を含め数名。こどもたちは帽子もかぶらず水筒をもっていたのが唯一の救い。熱中症って知ってる?ねえ?知ってるイギリス人よ。
イギリスの服装は、子供も親も先生さえも自由でゆるいです。
イギリスで厳しいのは、スマホでの写真撮影です。(詳しくはまとめにて)
まとめ
以上、「海外に運動会はある?イギリスのスポーツデーと運動会を比較してわかったこと」の記事を紹介しました。
「海外(イギリス)にも運動会はあるの?」
答えは、前述したとおり「海外には運動会もどきのスポーツデー(Sports Day)」があります。
日本の運動会は、親も子も盛り上がる一大スポーツイベント。
運動できる子供にとっては、晴れがましい日です。
しかし運動ができない人にとっては、人生に暗い影を落とし続ける屈辱の日です。
大人になった今でも、わたしは家族から…
「あのときの運動会で、アルノちゃんはなぜ笑いながら走ってたの?笑ってたからビリだったんじゃない?」なんて言われます。
違います!
笑ってなくてもビリなんです!
前を走る晴れやかな同級生を見ていたら、思わず自分の姿に苦笑してしまい、こらえきれなくなったんです。
イギリスでは、運動の才能のない子供たちがスポーツイベントで「公衆の面前で屈辱をうけることに耐えられない」ことを憂えた親によって、運動会の廃止や個人の優劣を決める賞(本気のレース)の禁止が起こりました。
まことにイギリスらしいです。。
1990年の半ば以降になると、スマホやカメラでこどものスポーツデーの様子を撮影することはほぼ禁止されました。
なぜかって?
こどものプライバシーを守ることと、小児性愛者から子供を守ることが写真撮影禁止の原因となっています。
イギリスは「え?そこそんなにゆるくていいの?」と思うことも多いですが、逆に
一部の強烈なモンスターペアレンツによる、激しいヒステリー対応や道徳的パニックが頻繁に起こる国でもあります。
私は運動音痴なのでイギリス式のスポーツデーなら人生の汚点を残さず楽しめたかもしれません。
しかし、日本のあの高揚としたスポーツの祭典を体験しない人生より、結果的にはよかったと思っています。
日本の運動会が一年で一度の運動能力の披露の大会であるなら、
イギリスのスポーツデーは子どもたちがゲームを楽しむための会。
比較するものでもないかもしれませんが、イギリスのスポーツデーを体験してみて様々なことが頭をよぎったので、この記事で整理させていただきました。
あなたは、日本式とイギリス式、どちらの運動会がお好みですか?
▶イギリスの育児の良い点、日本の育児の良い点についてはこちらの記事が参考になります。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。Byアルノ