イギリスの国旗、「ユニオンジャック(Union Jack)」は、世にあまたある国旗の中でもひときわ目立つ存在を放っています。
おおくのイギリス連合国が国旗に採用していること、デザインとして非常に優れていることなどが理由と言われています。このイギリス国旗にまつわる豆知識が非常に面白いのです!
この記事ではユニオンジャックの意味と由来、そして8つの豆知識を紹介します。
この記事でわかること
- ユニオンジャックの意味
- ユニオンジャックの歴史と由来
- ユニオンジャックの8つの豆知識
イギリスの国旗が気になるあなた、ぜひ最後までごらんください。ユニオンジャックがもっと好きになっているはずです。
記事を書いているのは在英10年以上のアルノです。イギリスの国旗の歴史や由来をわかりやすく知りたい!という人は必見です。
ユニオンジャックの意味
ユニオンジャックは【UKの国旗】です。
イギリスの正式名称は、「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国(United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland)」。略して、みなさんご存知の「UK」!
UKは、以下の国で構成されています。↓
・イングランド(日本人が考えるイギリス)
・ウェールズ
・スコットランド
・北アイルランド
「ユニオン・ジャック」は、この4つの連合国を示す国旗なのです
ユニオンジャックの歴史
最初のユニオンジャックのデザインは、1606年に誕生しました。
ですが、1603年にエリザベス1世が崩御します。その後次の王位についたのが、当時のスコットランド王ジェームズ6世でした。
それまで独立した王国だったイギリスとスコットランドですが、ジェームズ1世は、スコットランドとともにイングランド王位も継承。これが『グレート・ブリテン王国』の誕生となります。
1606年4月12日に、ジェームズ1世はイングランド旗であるセント・ジョージとスコットランド旗であるセント・アンドリューの十字架を融合させる旗をつくります。
イングランドとスコットランドの統一を熱望したといわれるジェームズ1世が最初の初代ユニオン・フラッグをつくったんですね!
こうして、白地の赤の十字(セント・ジョージ・クロス)を、青字に白の斜め十字(セント・アンドリューズ・クロス)の上に重ねた『(初代)ユニオン・フラッグ』が誕生しました。
ユニオンフラッグのドタバタ時代
ユニオンフラッグが誕生したものの、当時はまだ国旗ではなく、あくまでも王室の旗として使われていました。さらに、旗の使用は海上の船舶にのみ使用していました。
1634年、この旗はチャールズ1世(ジェームス1世の息子)により、「この旗を掲げることができるのは、王の艦船に限る」と決められます。
時代は代わり、ピューリタン革命で王政を排除したオリバー・クロムウェル(1599 – 1658年)の共和制の時代には、この旗があくまでも王室旗だったことから、一時廃止されます。
しかし、チャールズ2世の王政復古と共に、再び、ユニオンフラッグ復活!
1707年、イングランド・スコットランドの合同法が制定されたアン王女の時代に両国は『グレートブリテン王国』として統一されました。
ここから、ユニオンフラッグが王室旗ではなく、国旗としての役目を果たすようになるのです。
アン王女は、グレートブリテン王国最初の君主であり、最後のイングランド王国・スコットランド王国の君主であり、及びアイルランド女王でもありました。
ユニオンジャックが誕生(イングランド+スコットランド+アイルランド)
グレートブリテン王国の誕生から約100年後の1801年、今度は連合法によりアイルランド王国がグレートブリテン王国(イギリス)と統一。
『グレート・ブリテングレートブリテン及びアイルランド連合王国(United Kingdom of Great Britain and Ireland)』の誕生です。
1801年1月1日、国旗にはアイルランドのセント・パトリックの旗(白地に赤のバッテン)が加えられ、現行のユニオン・ジャックが誕生しました。
その後1949年にはアイルランドはイギリスから離脱、北アイルランドだけがイギリスの連合国入りしました。
現在は、UK(イギリス&スコットランド&北アイルランド&ウェールズ)の連合旗として現在のユニオンジャックが使用されています。
ユニオンジャックの8つの豆知識
ここからは、ユニオンジャックの8つの豆知識を紹介します。
1)ユニオンジャックの由来
英国旗は一般的な呼称は、「ユニオン・ジャック(Union Jack)」です。
ユニオン=結合や連合をあらわす
ジャック=船の舳先につける船の国籍を示す旗
最初のユニオン・フラッグは、1600年代当時の海洋進出が活発だった英国海軍の艦隊旗として使われるようになり、艦隊旗を意味するユニオン・ジャックと呼ばれるようになります。
ユニオンジャックという名の由来はそこから来たとされます。
もうひとつのジャックの名前の由来に、ジェームズ1世のラテン語名である、ジャコバス(Jacobus, Jacob=James)から来たという説もあります。
2)英国旗は3つの旗からできている
ユニオン・ジャックは、3つの旗で構成されています。それは連合国イングランド、スコットランド、北アイルランドの守護聖人の十字架を象徴しています。
それぞれの国の守護聖人の十字架は以下のとおりです↓
イングランド
イングランドの旗は、白地に赤十字のSt George’s Cross(セントジョージの十字架 )です。
1277年にエドワード1世によって国旗に採用されたとされる旗で、聖人ゲオルギオスの伝説にちなんでいます。
聖人ゲオルギオスは、ドラゴン退治物語で有名な聖人。ゲオルギオスはキリスト教を嫌う異教徒のディオクレティアヌス帝に処刑されますが、赤十字はそのときに流した血を表しています。
スコットランド
スコットランドの旗は、青字に斜め白十字のSt andrew’s cross(セント・アンドリューの十字架)。
伝道の途中にクロス型の十字(サルタイアー)にかけられて殉教した、十二使徒の一人でスコットランドの守護聖人であるセント・アンドリュー(聖アンデレ)を象徴しています。
北アイルランド
北アイルランドの旗は、国旗としてではなく地域旗として2種類(斜め赤十字のサルタイアーと、アルスターバナー)あります。
ユニオンジャックに使用サれているのが、白地に斜め赤十字のSt Patrick’s cross(セントパトリックの十字架│別名サルタイア )。
アイルランドにキリスト教を広めた、アイルランドの守護聖人、聖パトリックスの名前に由来する旗です。
3)ウェールズ旗はどこへ?
3つの連合国の旗といいましたが、実はウェールズの旗はデザインに組み込まれていません。
なぜウェールズの旗がユニオン・ジャックに組み込まれなかったのでしょうか?
その理由はウェールズが、イングランドとスコットランドが統合する1606年よりずっと古く1282年からイングランドの一部であったためだとされます。
ジェームズ1世によって初代ユニオンジャックが作られる前に、すでに「ウェールズはイングランドの一部である」、とみなされていたからなんですね。
ウェールズの旗は、緑と白の背景に赤いドラゴンが独特な図柄で、世界の旗でももっとも古くから存在していると言われています。
ドラドンの舌と尾っぽがクルリンとなってるのが、めっちゃ気になるデザインですが、ドラゴンが旗になった起源は不明で、現在の旗の図柄になったのは1959年。
もうひとつ、ウェールズ旗の個人的に気になる点があります。
他の3つの国がそれぞれの国の守護聖人を象徴しているのに、ウェールズはウェールズの守護聖人であ、聖デイビットに関係のないドラゴンの図柄なのです。
ドラゴンといえば、イングランドの守護聖人、聖人ゲオルギオスがドラゴンと闘ったことで有名なのです。
4)実はユニオンジャックといっていいのは海の上だけ
初代ユニオン・フラッグは海軍の艦隊旗として使われていた経緯があります。
次に、ジェームス1世の息子、チャールズ1世の時代に「この旗を掲げることができるのは、王の艦船に限る」と制定されます。
ここがイギリスらしいところなんですが、このチャールズ1世の掲げた『ユニオン・フラッグ 海上のみの使用の規定』が、現在でも残っているのです。
そのため正式には、海の上の船首旗であるときのみが『ユニオン・ジャック』で、陸上の旗は『ユニオン・フラッグ』となります。
一般的には、英国旗を「ユニオンジャック」と呼びます
5)ユニオンジャックは、左右対称ではない!?
フラグを注意深く見ると、実際にはその形状が上下・左右ともに対称ではないことがわかります。
英国旗の赤の斜線部分は左右対称ではなく、白の部分と赤の部分の太さが互い違いになっています。
これは、セントアンドリュークロス(スコットランド)とセントパトリッククロス(アイルランド)が重なり合わないよう設計された結果、セントパトリッククロスの傾斜を反時計回りにずらしてあることで上下左右が非対称になっているのです。
このように2つの図形を交互に配分することによって、上下左右を失くす手法を「カウンターチェンジ」といい、スコットランドとアイルランドが同位である事を象徴してます。
ユニオンジャックを飾るときは、上下さかさまにご注意が必要ですね。
6)他の国の旗もめちゃくちゃユニオンジャックを使ってる!
「ユニオンジャック」って日本人にとってもとても身近なデザインですよね。
その理由のひとつが、英国以外にも多くの国が自国の旗にユニオンジャックをとりいれていることにあります。
世界で25カ国ほどの大小の国(領土や島々を含む)がユニオンジャックを自国の旗、左上の部分につかっています。
その大部分はある時代においてイギリスの統治下にあった地域で、旗の由来は大英帝国の植民地支配の時代にさかのぼります。
イギリス連邦国、また親イギリス的な国といえるでしょう。
オーストラリア、ニュージーランド、アメリカのハワイ州のフラッグ画像のみ表示します↓
ユニオン・ジャックを旗に使っている国
たくさんの国がユニオンジャックを自国の旗につかっています。↓
・イギリス
・オーストラリア
・ニュージーランド
・フィジー
・ツバル
・ニウエ
・アセンション島
・アメリカ合衆国・ハワイ州
・アンギラ
・イギリス領インド洋地域
・イギリス領ヴァージン諸島
・イギリス領南極地域
・カナダ・オンタリオ州
・カナダ・ブリティッシュコロンビア州
・カナダ・マニトバ州
・クック諸島
・ケイマン諸島
・サウスジョージア・サウスサンドウィッチ諸島
・セントヘレナ
・タークス・カイコス諸島
・トリスタン・ダ・クーニャ
・バミューダ諸島
・ピトケアン島
・フォークランド諸島
・モントセラト
フィジーの国旗は2015年にユニオンジャックを廃し、新しい国旗にすると発表されていましたが、2018年に変更をとりやめにしています。
7)ユニオンジャック柄はだれでもつかっていい!?
ユニオンジャックのデザインは、誰でも、どんな方法でも使用できるって知っていました?
現在、英国にはユニオンジャックの旗の使用に関しての規定はありません。
このため、誰でもどんな使用をしてもOKなので、服や下着、タオル、マグカップ、キーホルダーなどお土産によくありがちな商品はもとより、英国旗を肩からはおって歩いても違法となりません。
例えば、これがアメリカの星条旗になると、旗に対する冒涜の概念があり、使用に際してけっこう細々したルールがあります。
8)ユニオンジャックはいつはためく?
『フラッグ・デイ(Flag day)』と呼ばれる日には、ユニオンジャックがはためきます!
- ロイヤルファミリーメンバーの誕生日
- イギリス連邦の日(Commonwealth Day)
- 戴冠式の日(Coronation Day)
- 国王の公式の誕生日(The Queen’s official birthday)
- リメンバランスデー(Remembrance Day)
- 州議会の開会と議会の日(on the days of the State Opening)
- 議会の日(prorogation of Parliament)
- セント・ディビッド・デー(St David’s Day)ーウェールズの記念日
- セント・ジョージズ・デー(St George’s Day )ーイングランドの記念日
- セント・アンドリューズ・デー(St Andrew’s Day )ースコットランドの記念日
- セント・パトリック・デー(St Patrick’s Day )ー北アイルランドの記念日
まとめ
以上、ユニオンジャックの意味と歴史、そして8つの豆知識【イギリスの国旗】を紹介しました。
ユニオンジャックはイギリス国民からも非常に親しまれている英国旗です。
これからはユニオン・ジャックのデザインをみるとき、飾るときには上下逆さまをチェックですね。
また、将来もしスコットランドが連合を離れることになれば、ユニオン・ジャックのデザインはどうなるのか?ということがイギリスで話題に登っています。
今後の「ユニオン・ジャック」の行方を見守りたいです。
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この記事があなたのお役にたてばうれしいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。Byアルノ