今までイギリスに住んでいて、実際にこんな話を耳にしました。
「街を歩いていたら、石を投げられた。」
「病院で老人看護していると、『日本人は嫌だからケアを変わって』と言われた。」(NHSで働く看護師さんより)
「イエローモンキーと笑われた」(息子が小学校のクラスメイトに言われた)
・「街を歩いていたら、石を投げられた。」
・「病院で老人看護していると『日本人は嫌だからケアを変わって』と言われた。」(NHSで働く看護師さんより)
・「イエローモンキーと笑われた」(息子が小学校のクラスメイトに言われた)
あからさまに人種差別かっ!と思いきや。。。
・「日本人はイギリス人となにか似ている」
・「うちの物件はキレイに部屋を使う日本人だけに住んでほしい」(大家さんより)
・「日本が大好き!」(マンガ好きの男の子に言われた)
など、日本に好意的な意見もよく耳にします。
実際、日本人はイギリス人にどう思われているのでしょう?
赤いポピーの季節になると、なぜか気持ちがそわそわする感じは、なんだろう?
そこで、今回はイギリス人が日本人のことをどう思っているのかを個人的に調査してみました。
ステレオタイプの意見と、実際に私が見聞きした意見です。
イギリス人は個性を重んじる国民性。
こんな記事で決めつけるな、と思われるかもしれませんが、一意見として読んでいただけると嬉しいです。
イギリス人は日本人をどう思っているのか?14項目でわかったこと、アルノ的調査結果の発表です。
1.日本人に対する戦争のネガティブ感情
イギリスのお年寄りと会話すると気づく日本人への一定数のネガティブな反応。これは第二次世界大戦の敵国として戦った近代史が影響しています。
この件について次の4つの視点から考えてみます。
- 第一次世界大戦(World War Ⅰ)では連合国で一緒に戦う
- 第二次世界大戦(World War Ⅱ)で敵国となる
- リメンバランスデー│戦死者への追悼
- VJデー(イギリスの終戦記念日)とは
第一次世界大戦(World War Ⅰ)では連合国で一緒に戦う
1914年にオーストリアの皇太子夫妻が暗殺された「サラエボ事件」をきっかけとして第一次世界戦争が勃発しました。
ドイツ、オーストリア、オスマン帝国、ブルガリアの同盟国側と、イギリス、フランス、ロシアの連合国側がヨーロッパを主戦場として戦闘が開始。
日本、イタリア、米国も連合国側に参戦しました。
敗退した側のドイツと連合軍との間の休戦協定が、1918年11月11日に調印されました。
同盟国側:ドイツ、オーストリア、オスマン帝国、ブルガリア
連合国側:イギリス、フランス、ロシア、セルビア、イタリア、日本、その他
この大戦時の日本とイギリスは、日英同盟を締結していて、日本はイギリスの要請により連合国側として参戦しています。
第一次世界大戦では、イギリスと日本は 共に戦った国という間柄でした。
1863年の薩英戦争から第一次世界大戦まで、イギリスが明治新政府を世界で最初に承認したことや、日英同盟の影響もあり、日本とイギリスは友好関係にありました。
第二次世界大戦(World War Ⅱ)で敵国となる
第二次世界大戦において日本はイギリスの敵国となり、戦後は世界中で反日感情が生まれました。
今でもイギリス人、特に年配者の心に暗い影を落としています。
第二次世界大戦は、1939年9月1日にドイツ軍がポーランドに侵攻したことをきっかけに勃発。(第一次世界大戦の終結から、わずか20年。。)
開戦から6年、1945年5月にベルリンが陥落しドイツが降伏。
同年8月にアメリカが日本へ2回の原爆投下し、日本も降伏。
ここに第二次世界大戦は終結しました。
枢軸国側:ドイツ、日本、イタリア
連合国:イギリス、フランス、ソビエト連邦、アメリカ、中国
戦後の東京裁判では、連合国の兵士捕虜への虐待や拷問、重労働などが取り上げらました。
現在でも、第二次世界大戦で日本軍が各地で行ったとされる残虐行為、慰安婦への性的搾取と、捕虜になった者への拷問、さらに「731部隊」の生体実験など、これら戦時中の残虐為が理解できない、と言われているのです。
第二次世界大戦中に日本軍が行ったとされることは、わたしたち日本人より、外国人の間で知られています。
第二次世界大戦の爪跡による日本人への反日感情、イギリスの特にお年寄りにはネガティブな印象を持っている人々がいることは間違いないようです。
※旧日本軍による残虐行為等については「これらが捏造された」という説もあります。
しかし、イギリスを含む世界の国の共通認識として「日本は第二次世界大戦下で残虐行為をした」というのが実情であると私は感じています。
リメンバランスデー│戦死者への追悼
リメンバランスデー(Remembrance Day)は、イギリスで毎年11月11日に開催される戦死者を追悼する日です。
午前11時に2分の沈黙をするのが一般的で、別名「ポピー・デー」とも呼ばれます。
英国を歩いていると、ポピーの赤い花飾りをつけた人、車などを見かけることがあります。
この赤い花の飾りは一年中みかけますが、「リメンバランスデー」の前の10月頃から、TV番組のアナウンサーや著名人も身に着けはじめ、街中の至る場所でみかけるようになります。
ポピーの花飾りの意味は?
「ポピー・アピール」と呼ばれる、イギリス在郷軍人会が1921年に始めた募金活動のこと。起源となったのは、第一次世界対戦での戦死者への追悼です。
ポピーの花飾りを買うと募金したことになり、販売を通じて集まった収益金は英国軍関係者への支援に使われます。
ケシの花の赤い色は、戦死者たちが戦争で流した血の象徴となったのです。
また、11月11日にもっとも近い日曜日を「リメンバランス・サンデー(Remembrance Sunday)」と制定し、戦死者を追悼する式典が行われます。
この礼拝にはロイヤルファミリーも出席し、国民的な規模で平和への祈りが捧げられます。
英国の戦死者追悼日であるリメンバランス・デーについてもっと知りたいあなたは この記事が参考になります。
VJデー(イギリスの終戦記念日)が日本人にはいたたまれない
「VJデー」という言葉をきいたことがありますか?
これは、イギリスにおける「終戦記念日」をさし、8月15日に日本が戦争に降伏した日が制定されています。
8月15日の終戦記念日というと、日本人にとっては戦没者の慰霊の日であり、おごそかな気持ちでむかえますが、イギリスの終戦記念日、いわゆる「VJデー」は「戦争に勝った祝いの日」という真逆の精神性でおこなわれます。
イギリスではVJデーの数日前から、戦時のドキュメンタリーや映画がTVで報道され、日本人のわたしとしてはいたたまれない気持ちになりました。
第二次世界大戦で日本が降伏したことを祝う「VJデー」と、ドイツが降伏した日をいわう「VEデー」についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。世界の終戦日についての考え方の違いは、日本人としても知っておきたい知識です。
2.天皇・上皇の名前は知っています
イギリス人は、もともと日本に対して一定の親近感を持っていたとされています。
それは、アジアの中で数少ない独立国であり文明国であったこと、豊かな独自の文化をもっていたこと、また天皇による君主制を持っていたことが挙げられます。
日本の皇室とは、現人神(あらひとがみ)であり、古代から脈々と血統を守ってきた家系です。いわば純粋な日本人の象徴。国民から尊敬される存在でもあります。
対して英国王室は戦う事によって勝ち取った国の最高特権者であり、国益のために異国人との政略結婚の繰り返しているため、血統を守ってきた一族ということではありません。
とある英語のレッスンの日。エリザベス女王について話していたところ、隣のイギリス人スタッフから、「日本の今の天皇はAKIHITOよね(2017年)」と言われ、、、、、
一瞬「あれ?そうだっけ??」
常に「天皇陛下」と呼んでいたので、天皇の名前さえ瞬時に言えず、恥ずかしい思いをしました。
わたしより、なぜイギリス人のあなたが知っているのか?と愚問したところ、
「いや、何でって、特に理由はないけど?知っている人多いと思うで。」と答えが帰ってきました。
イギリスの若者が日本の皇室に対して何処まで知っているかはまだ謎です。
しかし、イギリスの一部の人の間では、日本の天皇家は興味深い存在であるようです。
3.先進国だよね
戦後、日本はG5(先進五カ国)の一国となり、経済大国にまで発展しました。
イギリスでもSONY、TOSHIBAの電化製品、TOYOTA、NISSAN、HONDA、SUZUKIなどの日本車、KAWASAKIなどのバイクは知名度が高く、「技術力の高い国、日本」という認識があります。
G5(先進5カ国)とは?
アメリカ・イギリス・フランス・ドイツ・日本の、世界を政治経済・軍事の両面でリードする5つの先進国のこと。
※この5か国+イタリア・カナダを加えたサミットメンバーをG7(先進7カ国)という。
4.日本人は「礼儀正しい」「マナーがいい」
これは世界中で絶賛されている日本人の行動です。
例えば、オンライン旅行会社のエクスぺディアが行った、アンケート(主にホテル)による観光客の国別マナー評価。日本人は堂々の第一位!
「礼儀正しい」「マナーを守る」「大騒ぎをしない」「部屋をきれいに使う」「不平・クレームを言わない」など高評価を得ています。
私の体験談
10年ほど前の旅で利用したオーストラリアのとあるバックパッカーホテルでの出来事。
ヨーロッパ人、日本人、韓国人が多いホテルで、ヨーロッパ人は夜おそくまでプールサイドで乱痴気さわぎ!いやすごいのなんの。
「あなた達、あの美しい国ヨーロッパから来たんですか?なんですか、その乱れようは?飲み過ぎちゃうの?」目も当てられないほど激しく乱れ騒ぎます。音楽ガンガン深夜ですよ!
「うわ~ホテルの人大変だわ」と思ったのを懐かしく思い出します。
同室だった韓国人女性と「なんなん あの人ら」って話して、わたしたちは翌日のために早めに耳栓で就寝しましたよ。
「ジャパニーズピープルアーカインド、ホネスト、フレンドリー!(日本人は親切で正直で親しみやすい)」
という言葉も海外在住中に何度聞いたでしょうか。
日本人の私が言うのもなんですが、イギリスで出会う一般的な日本人は知的で、平和的で、組織的で、落ち着いた佇まいです。
日本人の礼儀正しさや正直さなど良いイメージを作り上げた海外移住の先人たちに感謝です!
5.日本・日本人に興味なし
「日本人だから」という意識よりも、「アジア人」に対する意識が薄いイギリス人は多い。
もうひとつ、特に日本・日本人に興味がない人々も多いのです。
そりゃそうです!私達日本人だって、自分にとって関係がない、そもそも存在すら知らない、情のわかない国があります。
日本はイギリスにとって遠い国。
ゲームのニンテンドーやポケモンは知っているものの、「だから何?」っていう人はたくさんいます。
6.日本人は、日本が一番だと思っている
「日本人は、日本人が一番だと思っている。」
「日本人は、日本の製品が一番だと思っている。」
これは、ロンドン時代の大家さんや、オーストラリア在住のイギリス人の友人からも言われました。
でも言ってる本人も たいてい自国が一番と思ってる人が多いです。
日本の製品はこわれないんです。同じくらいの料金なら絶対壊れないほう、使いやすいほうを買うのが日本人です。
っというのがわたしの言い分です。
このころは、日本の周りの友人は「日本が嫌い」とのたまう若者が多かったので、イギリス人から言われた【日本人は日本が一番と思ってるだろ】発言は逆に嬉しい驚きでもありました。
7.日本人は働きすぎ!
「Karoshi(過労死)」、イギリスでも有名で英製和語になってます!
イギリス人からも勤勉でよく働く、サービス残業をする、など日本の働きすぎビジネスマンのイメージは定着しています。
イギリスの素晴らしい点のひとつに、「自分の働く時間を過ぎたら、いさぎよく帰宅する」ことがあります。
日本のようにサービス残業もしない(している人もいます)し、個人的に会社帰りにパブにたちよることがあっても部署ごとの強制飲み会などはありません。
自分の人生、会社のためにあるんじゃない!とイギリスに来て痛感しました。
8.日本では奇妙なことが流行する
古いけど有名なのは、ヤマンバギャル(古っ!でも今だに流行ってると一部で思われてます)。
猫カフェなどのペット系カフェ。ふくろうカフェがニュースになったときは、知り合いの動物愛好家の間で残酷だとさんざん叩かれました。
また、一部の日本の中年男性が愛してやまないという等身大の愛玩人形のニュースをBBCで見たときは、さすがに驚きました。
2019年、日本では結婚をしない、またセックスレスの若者が増えているというニュースも大きくとりあげられています。
イギリス人から見ると、奇妙で理解不可能なものが流行るのが日本のようです。
9.日本食は健康的だよね
そうですね!
長寿であることと、外見が若いこと、太っている人が少ないこと、寿司や豆腐、枝豆に刺し身などの和食文化が「日本=健康的」だという認識を与えているようです。
でも、現代の日本人にはないイギリス人の健康的なところもあります。彼らはとにかくよく歩くのです!
10.日本人女性と結婚したい
これは、もともと日本に興味があり、日本人女性がおしとやかで慎ましく、可愛らしくエキゾチックに見えている男性がこのように思っているふしがあります。
マンガやアニメの影響も大きいです。
私でさえも「日本人女性と結婚したい」というイギリス人男性に多数遭遇してます。
「東京の銀座を歩いて、日本人女性の美しさは世界一だと思った!」と熱く語るイギリス人の横で、ジーンズ姿でラーメンをはふはふ食べるわたし、すみません、、みたいな。
あとは、ロンドンでよく目にしたのが東ヨーロッパ人の日本人女性の圧倒的人気。
東欧の方と知り合ってみると、礼儀正しさや他人への思いやりなどの文化が似ていることに気づきます。
11.日本人ってイギリス人と似てるよね
英国人と日本人は長い歴史を持つ島国であるため、共通していることが多い と一部のイギリス人から思われています。
特に、日本人と一緒に働いたことのある英国人、日本を訪問したことのある英国人からこの意見をよく聞きます。
わたしが実際にイギリス人から聞いた【日本人と似てる点】は、「礼儀ただしいところ」「君主制」「シャイであること」「すぐSorrryと言うところ」などでした。
12.日本人は英語が話せない
はい、すみません!
もちろん英語がペラペラの日本人も多い!あしからず!
13.日本人は若い!
イギリス人のママ友と話していて、目尻のシワを発見すると「あ、私と同じくらいの年齢かな?」と思うことがしばしばあります。しかし、相手はなんと10歳も若い…。
なぜそうなるのかまだ解明できていませんが、欧米人は25歳をすぎたあたりから、顔つきがガラッと変わり、「え?いつのまにそうなったん?」と思うことしばしば。
体格や、骨格、服装、肌質もあるでしょうが、日々のお手入れ方法にもよるのではないか、と推察しています。
14.日本の文化を尊敬します
一般的に日本の文化は英国ではかなり尊敬されていると思います。
サムライ、浮世絵、金継ぎなどの文化や伝統芸能、空手や合気道などの武道、寿司やラーメンなどの和食人気はすごいです。
また、ジブリの作品も評価が高く、イギリスの図書館にもジブリ作品(DVD)を見かけます。
マンガやアニメ、ビデオゲームの人気はとどまるところを知りません。
車だけではなく、モーターバイクの世界でも日本車は人気で、kawasaki、Hondaは深く尊敬されています。
折り紙を折っていたら、「なんて賢いの!すごすぎ日本人」
なんて大絶賛。こちらが恐縮してしまいます。
日本語から英語になった言葉のまとめ記事がこちら。日本文化が世界に浸透している証拠です。
まとめ
以上、イギリス人は日本人をどう思っているのか?14項目でわかったことを紹介しました。
こうしてまとめてみると、日本という国に興味がある人は、それなりに日本に対して深い感情があるようです。
一方で、日本にまったく興味がなく、眼中にない人たちも多い。
特にイギリスの田舎で日本に特別な思いのない人は「アジア人ひとまとめ」みたいな印象。
若者の間では、アニメやマンガ、ゲームにおいて世界のリーダーシップをとっているのが日本である、という認識。
それから、例えば武道、芸術、ビジネスなどの各分野において、日本の存在はユニークで稀有な存在です。
そして、一番重くのしかかるのが、第二次世界大戦時の日本軍の残した爪跡。
イギリス人のお年寄りと話をする時の、、そして赤いポピーの花飾りがあちこちで見かける時期の、、あの胸がざわざわする感覚は、このネガティブな歴史に関係していました。
【海外へ旅する、暮らす】となれば、どこかで必ず自分の国について触れる時がやってきます。
どんな話題でも対等に話ができる知識、自国に対するしっかりした意見があれば、得体のしれない不安感にそわそわざわつく心配もありません。
ーー旅や移住に際しての心構えとして、私が思う大事なことはひとつだけ。
「旅や移住先の国に興味を持ち、その国の歴史、日本との関わりを知ること。」
今回のまとめで、こんなことがわかったのでした!
●●人は○○人をどう思っているのか?シリーズも人気があります。
▼世界ヨーロッパ国民性をもっと知りたいなら、こちらの本がイチ推しです。
各国のステレオタイプが一気にわかるので興味のある外国人の国民性のチェックに最適。旅行に行く前に読む、またはビジネスにと、話のネタになります。
アジア編の「日本人が意外と知らないアジア45カ国の国民性」、中南米編の「日本人が驚く中南米33カ国のお国柄」もわたしは面白かったです。参考にしてください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。Byアルノ